映画「教皇選挙」を観てきました

立川・高島屋のkino cinemaで「教皇選挙」を観てきました。おりしも4月21日にフランシスコ教皇が帰天し、まさに映画さながらに次の新しい教皇を決めるコンクラーベ(教皇選挙)が5月7日から始まります。

フランシスコ教皇は2013年に即位したので、12年ぶりのコンクラーベとなります。南米からの初の教皇となったアルゼンチン出身のフランシスコ聖下は、同棲カップルを祝福し、カトリック教会における女性の役割を拡張するなどリベラルな改革派でしたが、果たして次の教皇は改革路線を継承する枢機卿(教皇の次の聖職位)が選ばれるのか、それともこれまでの反動で保守派枢機卿から選ばれるのか、とても興味深いところです。

しかし、教皇選挙はコンクラーベという名称のラテン語語源(cum clavi 鍵をかけられた)からもわかるように、外界から完全に遮断されたシスティーナ礼拝堂で行われるため、その選出過程のドラマは一切外部に漏れることはありません。このように、世界14億人のカトリック信者の頂点に立つ謎に満ちた教皇選出のドラマが、英国の作家ロバート・ハリスによる良質の密室ミステリ小説として再現され、それをものの見事に映画化したのがこの「教皇選挙」というわけです。

ネタバレになるので、具体的な展開は言えませんが、密室の中で派手なアクションもロマンスもなく、老いた枢機卿(つまりくたびれた老人男性)たちの腹の探り合いが中心となるにも関わらず、とにかく2時間の上映時間が短く感じられるほど緊迫したシーンの連続です。さらに、システィーナ礼拝堂が舞台となるわけですから、その壁画としてミケランジェロが描いた「最後の審判」も登場しますし、精巧に再現されたセットをはじめ映像美術の美しさ、音楽の荘厳さもこの映画の魅力です。機会があれば、ぜひ観ていただきたい映画です。